2025年10月9日
天気 快晴
最高気温 31℃
最低気温 24℃
10月の澄みわたる秋空の下、京都・壬生寺を訪れました。
新選組ゆかりの地として知られるこのお寺は、京都市の中心部から少し離れた住宅街の中に静かに佇んでいます。
白い砂利が敷かれた境内は陽の光を受けてきらきらと輝き、手入れの行き届いた庭とお堂が穏やかな時間を刻んでいました。
境内はそれほど広くなく、ゆっくりと歩いても1時間ほど。観光地としてはちょうどよい広さで、散歩感覚で楽しめます。
ウォーキングコースにしているのか、歩く地元の方らしき姿も見かけ、観光名所でありながら「生活の中に溶け込むお寺」という印象を受けました。
秋の京都は紅葉の名所が注目されがちですが、人混みを離れてゆっくりと過ごしたい方には、壬生寺のような静かな寺院がぴったりです。今回は、壬生寺の魅力や見どころ、そして参拝後に立ち寄れるおすすめの和菓子店をご紹介します。
壬生寺の歴史とご本尊
壬生寺の創建は古く、平安時代の991年(10世紀)に遡ります。
本尊は地蔵菩薩で、「壬生の地蔵さん」として古くから地元の人々に親しまれてきました。
地蔵堂の中には穏やかな表情の地蔵菩薩坐像が祀られ、訪れる人の心を静かに包み込みます。
また、壬生寺は京都三大念仏狂言のひとつ「壬生狂言」でも知られています。
この狂言は約700年以上の歴史を持ち、セリフを使わず身振り手振りで演じられる無言劇。
節分や春・秋の特別公演の時期には多くの参拝者で賑わい、普段の静けさとはまた違う活気に包まれます。
壬生寺へのアクセスと立地
最寄り駅はJR丹波口駅で、徒歩約10分ほど。京都駅から嵯峨野線に乗り換えて二駅で到着します。
駅からの道のりは静かな住宅街を抜けるコースで、観光客でごった返すような雰囲気もなく、ゆったりと歩けるのが魅力です。
お寺には駐車場はありせんが、表門北側のコインパーキングを利用することもできます。
お寺の正面門の前はやや道が狭く、昔ながらの町並みがそのまま残っています。
道端には小さな地蔵堂や古い町家が点在し、京都の“生活の風景”を感じながらのんびり歩けます。
新選組ゆかりの地としての壬生寺
壬生寺といえば、やはり新選組を語らずにはいられません。
幕末の頃、壬生寺は新選組隊士たちの稽古場として使われていた場所。
近藤勇や土方歳三たちがここで剣を交えたと伝えられています。
現在も境内には近藤勇の胸像、そして令和5年に建立された土方歳三の胸像があり、
これらは有料エリア(拝観料300円)で見学できます。
とはいえ、壬生寺全体が「新選組一色」というわけではなく、長い歴史の中の一章として新選組が存在している、という控えめな姿勢に好感を覚えました。
静寂な境内の空気の中で、遠い幕末の時代に思いを馳せる時間は格別です。
また、壬生寺の隣には、新選組が宿所としていた壬生屯所の八木邸があり、新選組にゆかりのある建物を見ることができます。
さらに歩いて10分ほど南に行くと、島原遊郭として栄え、新選組の隊士が通ったとされる旧花街を見ることができます。当時の面影を残した風情のある街並みは、ふと時間の流れが止まったかのような感覚になります。
壬生寺の隣で味わう上品な甘さ ― 金つばの「幸福堂」
参拝を終えてすぐに立ち寄れるのが、壬生寺の隣にある老舗和菓子店「金つばの幸福堂」さん。こぢんまりとした店構えながら、店頭には焼きたての金つばが整然と並んでいます。
あんこはしっかりと詰まっていながら、甘さ控えめで上品な味わいで、香ばしい皮としっとりしたあんこのバランスが絶妙で、歩き疲れた体に優しく染みわたります。
一つ食べ終える頃には、もう一つ買って帰りたくなるほど。参拝後のひと休みにぴったりの一品です。
少し足をのばして「小松屋」の豆大福
壬生寺から西へ10分ほど歩いた場所には、地元の人気和菓子店「小松屋」さんがあります。
お昼頃には多くの商品が売り切れてしまうほどの人気ぶりで、地元の方にも愛される名店です。
この日は残念ながら名物の栗大福が完売していたため、代わりに豆大福をいただきました。
もち生地の程よい塩加減と、上品なこしあんの優しい甘さが絶妙で、素朴ながらも忘れられない味わい。
京都の“日常の甘味”を感じさせる温かさがありました。
壬生寺さんぽの締めくくりに
壬生寺のある壬生エリアは、新選組の史跡と昔ながらの町並みが共存する落ち着いた地域です。
歴史を感じながら、和菓子でほっと一息つけるこのコースは、派手さはないものの心に残る小さな旅。
京都観光といえば清水寺や金閣寺が定番ですが、こうした“静かな京都”を歩くことで、
古都のもう一つの魅力に出会えるはずです。
秋の澄んだ空気の中、壬生寺と和菓子をめぐる時間は、まさに京都らしい穏やかな癒しのひとときでした。
🏮旅のヒント🏮
壬生寺を訪れるなら、春と秋の「壬生狂言」公演時期がおすすめです。
狂言を鑑賞した後に壬生寺や周辺を散策すれば、歴史と文化の両方をじっくり楽しめます。
近くには島原大門や西本願寺もあり、1日で“幕末と町歩き”をテーマにした小さな旅プランも可能です。